レポート

外国人労働者が抱える宗教問題――多文化共生社会に必要な「理解」と「制度」

近年の日本では、少子高齢化による人手不足を背景に、多くの外国人労働者がさまざまな産業で働くようになった。建設、介護、農業、製造業、飲食業など、日本社会を支える現場には、すでに多国籍の人々が存在している。政府も「特定技能制度」などを通じて外国人材の受け入れを拡大しており、日本はこれまで以上に「多文化社会」へと近づいている。

 しかしその一方で、外国人労働者が日本で生活し、働く中では多くの課題が存在する。その中でも特に見落とされやすいのが「宗教」に関する問題である。日本は比較的宗教色が薄い社会といわれるが、世界的に見れば、宗教は個人の生活習慣や価値観、行動規範に深く関わる重要な要素である。外国人労働者にとって宗教は単なる信仰ではなく、「日常生活そのもの」であり、それを理解しないまま雇用や社会制度を構築すると、深刻な摩擦や孤立を生むことになる。

本稿では、外国人労働者が抱える宗教上の問題を具体的に整理し、日本社会がどのように向き合うべきかについて考察したい。

日本社会と「宗教への無関心」

まず理解しなければならないのは、日本社会特有の宗教観である。

日本人の多くは、初詣やお盆、クリスマスなど宗教的行事を日常的に行っている一方、自らを「無宗教」と認識している場合が多い。宗教を生活の中心に置く人は比較的少なく、職場でも宗教について語る機会はほとんどない。

この感覚は、日本国内では自然なものとして成立している。しかし、宗教が生活規範そのものである外国人にとって、日本の「宗教を考慮しない社会」は時に大きなストレスとなる。

例えば、イスラム教徒にとって礼拝は日常生活の重要な義務であり、食事にも厳格な戒律が存在する。キリスト教徒でも、安息日や宗教行事を重視する人は多い。ヒンドゥー教やシーク教なども、服装や食事に独自の規範を持つ。

しかし日本の職場では、「宗教は個人の問題」という考え方が強く、制度的配慮が十分になされていない場合が少なくない。

礼拝時間と労働環境の問題

外国人労働者の宗教問題として最も典型的なのが、礼拝時間の確保である。

特にイスラム教徒の場合、1日に複数回の礼拝が必要になる。礼拝そのものは数分程度で終わることも多いが、勤務時間中にその機会を確保できない職場は少なくない。

製造業や物流業ではライン作業が中心となるため、「持ち場を離れられない」という理由で礼拝が認められないこともある。また、礼拝場所が存在しないため、トイレの隅や駐車場などで祈らざるを得ないケースも報告されている。

こうした状況は、本人にとって精神的苦痛となるだけでなく、「自分の信仰を否定された」という感覚につながりやすい。

一方、日本人側にも事情はある。現場では人員に余裕がなく、特定の宗教だけを特別扱いすることへの不公平感も存在する。つまり問題の本質は、「宗教への敵意」というより、多文化対応の経験不足にある場合が多い。

重要なのは、双方が対立することではなく、「どこまで配慮可能か」を現実的に調整することである。

ハラール問題と食文化の壁

宗教と食事は密接に関係している。

特にイスラム教では、豚肉やアルコールを避ける「ハラール」の概念が重要である。しかし日本の食文化では、豚由来成分やアルコールが広範囲に使用されている。

例えば以下のようなケースがある。

ラーメンスープに豚骨が使われている
調味料にみりんや酒が含まれている
ゼラチンが豚由来である
社員食堂にハラール対応メニューがない

日本人から見ると「少量だから問題ない」と考えがちだが、信仰上は重大な問題となる場合がある。

また、会社の飲み会文化も宗教問題と密接に関わる。アルコールを飲まない外国人労働者に対し、「付き合いが悪い」と評価する風潮が残る職場も存在する。

これは単なる嗜好の違いではなく、宗教的信念に基づく行動である。その理解が不足すると、外国人労働者は職場で孤立しやすくなる。

近年では、ハラール対応を進める企業や自治体も増えている。空港や大学では礼拝室の設置も進んでいる。しかし、中小企業レベルではまだ十分に浸透しているとは言い難い。

宗教的服装と職場規則の衝突

宗教は服装にも大きな影響を与える。

イスラム教徒の女性が着用するヒジャブ(頭部を覆う布)は代表例である。しかし、日本の企業では「制服規定」や「接客イメージ」を理由に着用を制限するケースがある。

また、シーク教徒のターバンや、宗教上の髭を禁止する企業規則も問題になることがある。

もちろん、安全衛生上の理由がある場合は一定の制限が必要なケースもある。例えば工場で機械に巻き込まれる危険がある場合、安全帽の着用は不可欠である。

しかし、単に「見た目が日本の慣習と違う」という理由だけで排除することは、多文化共生社会に逆行する。

海外では、宗教的服装への合理的配慮は一般的になりつつある。日本でも少しずつ変化は見られるが、現場レベルでは依然として理解不足が残る。

宗教差別と偏見の問題

外国人労働者の宗教問題で深刻なのは、偏見や差別である。

特にイスラム教に対しては、国際的テロ報道の影響などから誤解や警戒感を抱く人も存在する。「怖い」「危険」というイメージだけで接してしまうケースもある。

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日中関係が改善することで期待できる労働力改善とは

はじめに
日本と中国は、経済・文化・人的交流の面で長い関係を持つ隣国である。政治的には緊張が生じる場面も少なくないが、両国関係が改善し安定化することは、貿易や安全保障だけでなく、労働力不足という日本社会が直面する重要課題の解決にも大きな可能性を持っている。

日本では少子高齢化による生産年齢人口の減少が深刻化し、多くの産業で人手不足が慢性化している。製造業、介護、建設、物流、IT、観光、農業など、幅広い分野で労働力の確保が課題となっており、国内だけで解決することはますます難しくなっている。

こうした中、日中関係の改善は単なる外交上のメリットにとどまらず、日本の労働市場に新たな活力をもたらす契機となり得る。本記事では、日中関係が改善することで期待できる労働力改善について、多角的な視点から考察していく。

1. 日本が直面する労働力不足の現状
深刻化する人口減少
日本の人口構造は急速に変化している。少子高齢化によって働き手となる生産年齢人口は減少し続け、今後もこの傾向は続くと見られている。
特に地方では、若年人口の流出も加わり、企業が人を採用できない状況が常態化している
人手不足は単なる雇用問題ではなく、以下のような経済全体への影響を持つ。

生産能力の低下
企業成長の制約
賃金上昇によるコスト増
サービス維持困難
地域経済の衰退
特に不足が深刻な分野

特に人手不足が顕著な業種として、以下が挙げられる。

製造業
熟練技能者の高齢化と若年層不足により、技術継承が課題化している。

介護・医療
高齢化による需要増加に供給が追いついていない。

IT・デジタル人材
DX推進に対し高度人材が不足している。

観光・サービス
インバウンド回復で人材需要が急増している。

農業・建設
高齢化と若者離れが深刻である。

こうした課題に対し、日中関係改善は新たな解決策の一部となる可能性を秘めている。

2. 人材交流の活発化による労働力補完
中国人材受け入れの拡大

日中関係が改善すれば、まず期待されるのが人的交流の拡大である。
中国は巨大な人口と豊富な人材プールを有しており、高度人材から技能人材まで幅広い層が存在する。政治的関係が安定し相互信頼が深まれば、日本企業による中国人材採用はさらに進みやすくなる。
これは単純な「外国人労働者受け入れ」ではなく、戦略的な人材補完として位置づけられる。

期待できる分野は多い。

技能人材の確保
製造業や建設、物流などで技能を持つ人材の受け入れが拡大すれば、現場の人手不足緩和につながる
特に日本企業と中国企業のサプライチェーン連携が深まれば、人的交流も自然に増えやすい。
高度人材流入

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日本に在住する外国人の国別人口の推移 ―高度成長期から多国籍化時代へ―

日本における外国人の人口は、戦後長らく低水準で推移してきた。しかし近年では急速に増加し、その国籍構成も大きく変化している。本記事では、外国人の総数の推移とともに、国別人口の変遷を時代ごとに整理し、日本社会の変化との関係を読み解く。

1. 戦後から1980年代まで:在日コリアン中心の時代

日本における外国人の歴史を語る上で、まず重要なのが戦後直後の状況である。1950年代から1980年代にかけて、日本に居住する外国人の割合は総人口の約0.6%前後でほぼ横ばいだった 。

この時期の特徴は、外国人の大半が韓国・朝鮮出身者で占められていたことである。彼らの多くは植民地時代に日本へ渡ってきた人々やその子孫であり、「在日コリアン」として定住していた。

つまり、この時代の外国人は「新規流入」というよりも、「歴史的経緯による定住者」が中心であり、多様性は限定的だった。

2. 1990年代:ニューカマーの登場と国籍の多様化

1990年代に入ると、日本の外国人構成は大きく変化する。背景にあるのは、バブル崩壊後の労働力不足と入管政策の緩和である。

特に1990年の入管法改正により、日系人(特にブラジル・ペルー出身者)の受け入れが進んだ。この結果、南米出身者が急増し、日本の外国人社会は初めて多国籍化の兆しを見せる。

また同時期、中国からの留学生や労働者も増加した。統計でも、1990年代以降は外国人比率が上昇し、2000年には初めて1%を超えた 。

この時期の特徴をまとめると以下の通りである。

韓国・朝鮮が依然として最大グループ
中国人が急増
ブラジル・ペルーなど日系南米人が台頭

つまり、「旧来の定住者+新規移民」という二層構造が形成された。

3. 2000年代:アジア系外国人の拡大

2000年代に入ると、外国人の増加はさらに加速する。2005年には外国人人口は約155万人となり、5年間で約18.7%増加した 。

この時期の最大の特徴は、アジア諸国からの流入の拡大である。

特に以下の国の存在感が増した。

中国(留学生・技能労働者)
フィリピン(介護・サービス業)
ベトナム(技能実習制度を通じた労働者)

一方で、ブラジル人はリーマンショック(2008年)を契機に減少傾向となる。これは製造業の雇用縮小が影響したとされる。

このように、外国人労働者の構成は「南米中心」から「アジア中心」へとシフトしていった。

4. 2010年代:技能実習制度とベトナム人の急増

2010年代は、日本の外国人構成が大きく塗り替えられた時代である。その中心にいたのがベトナム人である。

技能実習制度の拡大により、ベトナムからの労働者が急増し、2010年代後半には中国に次ぐ規模となった。さらに、ネパールやインドネシア、ミャンマーなどの新興国出身者も増加した。

2020年前後のデータでは、主要な外国人国籍は以下のような構成となる。

中国
ベトナム
韓国
フィリピン
ブラジル

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日本におけるイスラム墓地問題――多文化共生社会の試金石

近年、日本に暮らす外国人の数は増加し続けている。とりわけ留学生や技能実習生、企業で働く専門人材として来日する人々の中には、イスラム教徒(ムスリム)も少なくない。彼らは日本社会の一員として働き、学び、生活している。しかし、その生活の終わり、すなわち「死」に関しては、日本社会は十分な準備ができているとは言い難い。特に問題となっているのが、イスラム教徒のための墓地不足、いわゆる「イスラム墓地問題」である。

日本社会の中のムスリム

日本に住むムスリムの数は、近年大きく増えていると推定されている。インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、マレーシアなどから来日する人々のほか、日本人の改宗者も存在する。研究者によって推計は異なるが、日本国内のムスリム人口は20万人から30万人程度とも言われる。

しかし、日本社会の制度やインフラは、長い間、ほぼ単一宗教文化を前提として形成されてきた。その結果、食事(ハラール)、礼拝場所、宗教教育など、さまざまな場面でムスリムが困難を感じることがある。その中でも、特に深刻で象徴的な問題が「墓地」である。

イスラム教の埋葬の特徴

イスラム教では、死者は土葬するのが基本とされる。遺体を火葬することは宗教的に認められていない。さらに、埋葬は可能な限り速やかに行うことが望ましいとされる。また、遺体はメッカの方向を向けて埋葬するなど、宗教的な作法も存在する。

一方、日本では明治期以降、衛生政策や都市計画の影響もあり、火葬が一般的となった。現在では日本の火葬率は99%以上とも言われ、世界的にも極めて高い水準にある。土葬が可能な墓地はほとんど存在せず、法律上は禁止されていないものの、自治体の条例や墓地運営の慣習によって実質的に困難になっているケースが多い。

この制度的・文化的なギャップが、日本に暮らすムスリムにとって大きな問題となっている。

墓地不足という現実

現在、日本国内でムスリムが利用できる土葬墓地は非常に限られている。北海道や山梨県、九州の一部などにわずかに存在するが、全国的には極めて少ない。多くのムスリムは、死亡した場合、遺体を母国へ輸送して埋葬するという選択をしている。

しかし、この方法には多くの問題がある。第一に費用が高い。国際搬送には数十万円から百万円以上かかることもある。第二に、時間がかかるため、イスラム教の「迅速な埋葬」という原則を守ることが難しくなる。第三に、日本で長く暮らしてきた人々にとって、生活の拠点である日本に埋葬されたいという希望がかなわない場合もある。

つまり、日本で生活していても、「日本で死ぬこと」が宗教的に困難な状況が存在しているのである。

地域社会との摩擦

イスラム墓地を新たに建設しようとすると、しばしば地域住民との摩擦が生じる。住民の中には、「衛生上の問題があるのではないか」「地下水が汚染されるのではないか」「文化が違う人々の墓地ができることへの不安」などの懸念を抱く人もいる。

しかし、現代の墓地管理は厳格な基準のもとで行われており、適切に設計された土葬墓地が衛生的に問題を引き起こす可能性は極めて低いとされている。むしろ、情報不足や宗教文化への理解不足が不安を増幅させている側面が大きい。

一方で、ムスリム側も日本社会との対話を模索している。地域説明会を開いたり、宗教的慣習を丁寧に説明したりするなど、共存の道を探る努力が続いている。

多文化共生社会への問い

イスラム墓地問題は単なる宗教問題ではない。それは、日本が今後どのような社会を目指すのかという根本的な問いを含んでいる。少子高齢化が進む日本では、外国人労働者や留学生の存在がますます重要になっている。政府も「多文化共生社会」を掲げている。

しかし、真の意味での共生とは、単に働く場や生活の場を提供するだけではなく、人の人生の最終段階まで尊重することである。つまり「どのように生きるか」だけでなく、「どのように死ぬか」も含めて尊重される社会である必要がある。

イスラム墓地問題は、その象徴的なテーマと言える。社会の多数派とは異なる宗教的価値観をどこまで受け入れることができるのか、日本社会の寛容性が試されている。

解決に向けた可能性

問題解決のためには、いくつかの方向性が考えられる。

第一に、自治体による制度整備である。土葬を明確に認める墓地の整備や、宗教別区画の設置など、柔軟な対応が求められる。

第二に、地域社会との対話の促進である。誤解や不安を解消するためには、宗教文化への理解を深める取り組みが不可欠である。

第三に、宗教コミュニティと行政の協働である。ムスリム団体が主体となり、行政がサポートする形で墓地を整備する事例も少しずつ増えつつある。

おわりに

日本におけるイスラム墓地問題は、まだ広く知られているとは言えない。しかし、外国人住民が増え続ける現代の日本において、この問題は今後ますます重要になるだろう。

多文化共生社会とは、単に異なる文化が「存在する」社会ではなく、互いの価値観を尊重しながら共に生きる社会である。その実現のためには、生活のあらゆる場面において多様性を受け入れる仕組みが必要だ。

墓地というテーマは一見地味である。しかし、「死者をどのように弔うか」という問題は、その社会の価値観を深く映し出す。イスラム墓地問題への向き合い方は、日本社会がこれからどのような共生の形を築くのかを示す重要な試金石となるだろう。

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イラン・イスラエル戦争が日本に与える影響:人材流入という視点から

2020年代に入り、中東情勢は再び緊張を高めている。特に、イランとイスラエルの対立は、地域の軍事衝突を超えて国際社会全体に影響を及ぼす可能性がある。もし両国の戦争が本格化した場合、日本も決して無関係ではない。エネルギー価格の高騰や海上輸送の混乱がよく指摘されるが、もう一つ見逃されがちな影響が「人材流入」である。本記事では、イラン・イスラエル戦争が起きた場合、日本にどのような人材が流入する可能性があるのか、そしてそれが社会や経済にどのような影響を与えるのかを考えてみたい。

〇中東戦争と人材移動の歴史

戦争は常に人口移動を伴う。中東でも例外ではなく、2010年代のシリア内戦では大量の難民が発生し、ヨーロッパ諸国へ流入した。このとき、単なる難民だけでなく、医師、エンジニア、IT人材など高度技能を持つ人々も多く国外へ移動した。結果として、受け入れ国の労働市場に一定の影響を与えた。

同様に、イランとイスラエルの戦争が拡大すれば、周辺地域だけでなく世界中に人材移動が発生する可能性がある。特に高学歴層は安全な国や研究環境の整った国へ移動する傾向が強い。ここで日本が選択肢の一つになる可能性がある。

〇日本が移住先として選ばれる理由

日本はこれまで難民受け入れが少ない国として知られてきた。しかし近年、状況は少しずつ変化している。高度外国人材の受け入れ制度の拡充、留学生の増加、そして人手不足の深刻化などが背景にある。

戦争による人材移動が起きた場合、日本が選ばれる理由はいくつか考えられる。

第一に、安全性である。日本は政治的安定性が高く、治安も良い。中東から見れば地理的には遠いが、戦争の影響を受けにくい国として魅力がある。

第二に、経済規模である。日本は世界有数の経済大国であり、研究機関や企業も多い。特に科学技術や工学分野では研究環境が整っている。

第三に、ビザ制度の柔軟化である。近年、日本は高度専門職ビザなどを通じて外国人研究者や技術者の受け入れを拡大している。これにより、戦争を避けて移住する専門人材が日本を選ぶ可能性がある。

〇流入が予想される人材のタイプ

イランとイスラエルはどちらも中東では例外的に教育水準が高い国である。特に理工系分野では世界的に評価される人材が多い。

イスラエルはスタートアップ国家として知られ、ITやサイバーセキュリティ分野で強い。仮に戦争によって企業活動が停滞すれば、エンジニアや研究者が海外へ移る可能性がある。日本のIT企業や研究機関がこれらの人材を受け入れることで、技術力の向上につながる可能性もある。

一方、イランは数学や工学分野の教育水準が高く、多くの優秀な研究者を輩出している。経済制裁や戦争によって研究環境が悪化すれば、国外の大学や企業に移る人材が増えるだろう。日本の大学や研究所にとっては、研究力を高める機会になる可能性がある。

〇日本社会への影響

人材流入は日本社会に複数の影響をもたらす。まず、労働力不足の緩和である。日本では少子高齢化が進み、多くの産業で人手不足が問題となっている。高度人材が流入すれば、研究開発やIT産業の人材不足を補う可能性がある。

次に、イノベーションの促進である。異なる文化や教育背景を持つ人材が集まることで、新しいアイデアが生まれやすくなる。これはシリコンバレーなど多くの技術拠点で見られる現象だ。

一方で、課題も存在する。言語や文化の違いによる社会統合の問題である。日本は移民社会としての経験が比較的少ないため、教育、医療、行政サービスなどで対応が必要になる可能性がある。また、宗教や文化の違いを理解する社会的努力も求められる。

〇政策的な対応の必要性

もし中東情勢の悪化によって人材移動が加速した場合、日本政府には戦略的な対応が求められる。単に難民として受け入れるのではなく、高度人材として研究機関や企業と結びつける政策が重要になる。

例えば、大学や研究所が海外研究者を受け入れるための特別プログラムや、ITエンジニア向けのビザ緩和などが考えられる。また、日本語教育や生活支援を整えることで、長期的に日本社会に定着してもらうことも重要である。

〇おわりに

イランとイスラエルの戦争は、日本から遠い地域の出来事のように見える。しかし、グローバル化した現代では、地域紛争が世界中に影響を及ぼす。エネルギー問題や物流だけでなく、人材の移動という側面にも注目する必要がある。

戦争による人材流入は、日本にとって課題であると同時に機会でもある。高度人材を受け入れ、社会の活力につなげることができれば、日本の経済や技術力にとって大きなプラスになる可能性がある。今後の中東情勢を注視しながら、日本がどのような受け入れ体制を整えていくのかが重要なテーマとなるだろう。
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日中関係悪化の本質的な原因と、これから私たちが模索すべき関係改善の道

はじめに
日本と中国は、地理的にも歴史的にも切っても切れない関係にある隣国である。経済面では深く結びつき、文化交流も盛んである一方、政治・安全保障の分野では緊張状態が常態化している。ニュースでは領海問題や軍事的対立、歴史認識をめぐる摩擦が繰り返し報じられ、「日中関係はなぜここまで悪化したのか」と疑問を抱く人も多いだろう。
しかし、日中関係の悪化は単一の事件や特定の指導者だけで説明できるものではない。そこには歴史的背景、国際構造、国内政治、そして国民感情といった複雑な要因が重層的に絡み合っている。

本記事では、日中関係悪化の主な原因を整理したうえで、現実的かつ長期的な視点から関係改善の道筋を提唱してみたい。

第1章 日中関係悪化の主な原因
1.歴史問題という未解決の「感情的遺産」

日中関係を語るうえで避けて通れないのが、近代史、とりわけ日本の中国侵略に関する記憶である。

中国側では抗日戦争の歴史が国家アイデンティティの重要な一部として教育されており、日本は「かつての侵略者」として記憶され続けている。一方、日本では戦後世代が増え、戦争の実感は急速に薄れている。この認識のギャップが、歴史問題が浮上するたびに感情的対立を生む。

さらに問題を複雑にしているのは、日本国内における歴史認識の多様性だ。一部の政治家や言論人による発言が、中国側では「日本全体の姿勢」と受け取られ、反発を招く構図が繰り返されている。

歴史そのものよりも、「相手は反省していない」「相手はいつまでも過去に固執している」という相互不信が、関係悪化を固定化させている側面が大きい。

2.領土・海洋権益をめぐる対立

尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる問題は、日中関係の最前線にある摩擦点である。

この問題は単なる小さな島の帰属争いではない。背後には、東シナ海の資源、海上交通路、そして軍事的優位性という戦略的価値が存在する。

中国の海洋進出は、日本側から見れば「現状変更の試み」と映り、日本は米国との同盟強化を通じて対抗する。すると中国はそれを「封じ込め」と受け取り、さらに行動を強める。典型的な安全保障ジレンマがここにある。

互いが「防衛のため」と考えて取る行動が、相手には「攻撃的」に見える。この悪循環が緊張を慢性化させている。

3.米中対立という大きな国際構造

現在の日中関係は、日中二国間だけでは完結していない。最大の外部要因は、米中対立の激化である。

日本は安全保障面で米国と強固な同盟関係にあり、中国から見れば日本は「アメリカ陣営の一部」と映る。一方、日本から見れば、中国の軍事的台頭は直接的な脅威となりつつある。

結果として、日本は米国寄りの立場を強め、中国はそれを警戒する。この構図は構造的であり、短期的な外交努力だけで解消できるものではない。

4.国内政治とナショナリズムの利用

両国とも、国内政治の文脈で対外強硬姿勢が利用されることがある。

中国では愛国主義教育と結びついた反日感情が、社会統合の装置として機能する場合がある。日本でも、中国への警戒感を強調することで支持を集める政治的力学が存在する。

こうしたナショナリズムは短期的には政権に利益をもたらすが、長期的には相互理解の余地を狭めてしまう。

5.メディアとSNSによる感情の増幅

現代では、刺激的なニュースや極端な意見がSNSを通じて瞬時に拡散される。冷静な分析よりも、怒りや不安を煽る情報の方が広まりやすい。

その結果、「中国は危険だ」「日本は敵だ」といった単純化されたイメージが国民レベルで固定されやすくなっている。

政府間の対話以上に、民意の硬直化が関係改善を難しくしている点は見逃せない。

第2章 日中関係悪化の本質は「不信の蓄積」

以上の要因を総合すると、日中関係悪化の核心は「相互不信の長年の蓄積」にあると言える。

・相手は信用できない
・相手は自国の弱体化を狙っている
・譲歩すれば損をする

こうした前提が共有されてしまうと、どんな協力提案も疑いの目で見られる。

つまり問題は、個別の政策以前に、心理的土台そのものが損なわれている点にある。

第3章
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日本の未来: イスラム教徒の受け入れと多文化共生

世界中で移民の流れは増え続けており、多くの国々で社会的、宗教的な多様性が拡大しています。日本も例外ではなく、近年、イスラム教徒のコミュニティも増加しています。日本はこれまで一貫して均質な社会でありましたが、この変化は、国際的な潮流であると同時に、日本社会における宗教と文化の違いによる新しい挑戦をもたらしています。

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中国の対外基本法と日中関係

2023年7月1日、中国は「対外関係法」を施行した。
この法律は、中国と他国との関係において様々な問題やリスクを引き起こす可能性がある。特に日本と中国との関係においては、以下のような懸念点が挙げられる。

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日本とアフリカ → チャンス?

6月22日、高知県の「オーテピア」ホールにおいて、アフリカをテーマにしたイベントが開催された。100人を超える来場者で、会場は大盛況であった。

冒頭、JICA四国所長より「SDGs」(持続可能な発展のための目標) についての説明があった。単なる支援だけに留まらない、アフリカの自立に向けた取り組みを、日本およびJICAの活動内容に触れつつ語られていた。

大変興味深かったのは、アフリカという場所が「チャンス」であるというとらえ方だ。アフリカでは有線電話の設備が整っていないが、それがかえって携帯電話の急速な普及を後押しする形になっているらしい。

同様に、銀行システムの整備が遅れているために、エムペサというキャッシュレス決済が浸透しつつあるという。こうした未整備な現状を逆手に取って、一気に新しいシステム・技術が入り込んでいく。ここに日本としても「チャンス」があるということだ。

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紛争地への支援のあり方とは

6月9日、徳島県国際交流協会 (徳島市寺島本町1-61 クレメントプラザ6F) において、徳島県内で在留外国人の生活ガイドブックを作成するなど、外国人支援をしている団体「国際交流懇話会 HIROBA」が主催した、鳴門教育大学在籍アフガニスタン人の講演会「アフガニスタンの過去、現在、未来」が開催された。

アフガニスタンの方の生の声を聞ける機会はそうあるものではなく、大変興味深いものであった。

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